小説に出てくる洋菓子屋Aへ
昨日、ワクチン接種に行く時に、読み始めたばかりだった「ミーナの行進」を持って出かけた。 医院の待ち時間と経過観察時間に読むつもりで。 病院で読書と言うのは、実に都合が良くて、待ち時間が長ければ本を沢山読み進める事が出来るし、待ち時間が短ければ、直ぐに用事が済むという、どちらに転んでも良い幸せな展開になる。
幸か不幸か、私は滅多に病院へ行く事がないので、この幸せな展開は稀にしかない。
接種の予約時間より30分早く医院に着いたので、待ち時間30分、接種後の経過観察時間15分で合計45分、本を読めるはずだったが、受付に接種券と問診票と身分証明書を提出すると直ぐに接種してもらえた。 読書の時間は接種後の経過観察時間の15分となった。
読み始めたばかりの本の舞台は芦屋、丁度主人公が伯父さんと西宮へ用事で出かけた帰りに洋菓子屋Aへ立ち寄る場面だった。 タイムリーすぎる。 この本に洋菓子屋Aが出て来る事は知って居た、というか、そこに惹かれた本だったので、帰りに立ち寄ってお店の外観を写真に収めるつもりで出かけてきたのだが、小説の、今読んで居る場面も丁度そこだなんて!
なんだ、この導かれ感。 セブンといい、今年はよく導かれる。
坂の途中にある医院を出ると、通り向かいの坂の上にその洋菓子屋Aは見えて居る。 坂の上の洋菓子屋、と書くと一気にドラマチックな雰囲気になる。
坂を登って、通り向かいから写真を撮ればお店全体が写って良いのだが、余計な物まで写ってしまう。 その洋菓子屋の看板より妙に目立つ「グリル」の看板や、店内で喫茶しているご婦人達のお姿が。 因みに、ご婦人達のお姿は、余計という訳ではなく、プライバシーを考えての事。
想い描いて居た構図は、お店全体に本を入れるというものだった。 そしてそのまま帰るつもりだった。 しかしそうはいかなかったので横断歩道を渡りお店の前まで来て素早く構図を考えて撮影。 こういう時、照れる事なく、楽しげに映える写真が撮れるお嬢さん達が羨ましい。
この写真を撮った時点で私は既にお店のスロープの端に立って居る。 いい写真が撮れて満足だったが、この位置から引き返すのはチョット不自然。 なんなら他社のスパイ行為に見えなくもない。 こんな私は気を使い過ぎだろうか?
ならばと、その場の勢いで店に入った。 「あ~入っちゃった」という不思議な感覚と共に。 この店は家から歩いて来れる場所にあるので、来ようと思えば何時でも来られるのだが、滅多に来ない。
子供の学校の送り迎えで毎日前を通る時期もあったが、この店の前を通る時は殆どの場合、車に乗って居り、店の前の道は狭くて急な坂道とカーブの組み合わせで見通しが悪く、車を停めてチョットお買い物、という事には成らない。 中には他人の迷惑等なんのその、渋滞を作りだしてお菓子を買う人も居るが私には到底無理な話。
飾り気の無い自動ドアから店内に入ると、乾燥しきって、若干鼻の効きが悪くなっている私の鼻にも分かるくらい洋菓子の香りが漂って居る。 店内は程よく混んで居た。
先客がカウンター越しに注文して居たので私は順番を待つ間、何を買って帰るか考えながら、壁一杯に並べられたギフトセットを眺めていると、銀色のトレーを持ったかわいいパティシエさんから焼き立てフィナンシェの試食を勧められた。
洋菓子屋Aは、フィナンシェの販売数世界一のギネス記録を持って居るお店。 当然フィナンシェが売りだが、フィナンシェと言えば日持ちするお菓子で、自分で買って食べるよりはお土産に持って行く場合がほとんど。 買った時には既に個別包装されており、焼き立てなんて食べた事は無い。 ほかほかのフィナンシェを食べるという貴重な体験をした。
店内では焼き立てフィナンシェを別のガラスケースで、個別包装無しで販売しており、買って帰る物の一つに入れた。
注文までまだかかりそうだったので、お店の喫茶メニューをゆっくり眺める事ができた。 お話の中に出てくるあのメニューは有るかなと。
クレープ・シュゼットは・・・ あったあった! 満足。
当然それを食べて見たかったのだが、一人で来ているし、お店が少し混んで来て騒がしくなってきたのでそれはまた次回の楽しみにした。 次に来る時は奥さんと娘の3人で散歩がてら来よう。
いよいよ私の注文の順番が来た。 自分でも思いがけない来店だったので焼き立てフィナンシェだけで充分な気もしたが、折角なので奥さんとアフタヌーンティーでもしようとケーキのガラスケースを見まわした。
全て美味しそうなケーキやシュークリームだったが、その中で特別私の目を惹いたのが、ツヤの有る赤色が鮮やかな球形をしたケーキ。 そのツヤが飴なのか、ゼリーなのか全く分らなかったが、見た目の美しさでコレに決めた!
奥さんも気っと気に入ってくれるだろう。
次にここへ来る時はクレープ・シュゼットを食べに来る時だろう。 できればお店が閑散とした時に、静かに炎の揺らめきを眺めながら頂きたい。
洋菓子屋Aを出てから家まで、ほんの15分歩いただけなのに、この日は強風が吹き荒れて居て、紙袋がクルクル回って、家に着くころにはシワシワになってしまっていた。(笑)
それでも中のケーキは厳重に固定されており無事だった。
ケーキは当然美味しかった。
本日の体重 53.5kg
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